こんにちは。心の学校スタッフの中里昌克です。
前回に続いて、佐藤康行先生の著作『世界から戦争を消し去る方法』の中から、私の心に残った一節をご紹介したいと思います。
私たちは「強い人」と聞くと、どんな人を思い浮かべるでしょうか。
競争に勝つ人。困難に負けない人。相手を圧倒できる人。社会の中では、そうした姿が「強さ」として評価されることも少なくありません。
けれども、その強さを突き詰めていった先に、本当の幸せや平和があるのでしょうか。
国と国との戦争も、身近な人間関係の争いも、「負けたくない」「自分のほうが正しい」という心から始まることがあります。だからこそ、これからの時代には、私たち自身が「強さとは何か」を問い直す必要があるのではないかと感じます。
今回は、佐藤先生が若い頃、ボクシングをしていた時のエピソードをご紹介します。
私も若い頃、強さを求めていた時期がありました。営業をやりながらボクシングジムに通っていました。その頃にあった、ボクシングを辞める理由のひとつになった出来事です。スパーリング(試合形式の練習)をすることになったのですが、私は練習生で、相手はプロの6回戦ボーイでした。
向こうはプロですから、私にけがをさせてはまずいので、彼は「俺は左手1本でいい。おまえは両手で殴ってこい」と言いました。
「俺はおまえのボディしか狙わないから、安心しろ」と。そしてスパーリングが始まったのですが、意外にも私のパンチがバンバン当たるんです。「当たるじゃないか」と思って打っていたら、相手は苦しくなってきたようです。
約束を破って、両手でガンガン殴ってきたのです。
私は「この野郎、嘘つきやがって」と思い、全力で殴ったんです。そうしたら、吹っ飛んで行ってしまいました。私は結構力があったのでしょう、6回戦ボーイのプロがダウンしてしまった……。私はすぐに抱き起こしたのですが、それをトレーナーに怒られたのです。
「バカ野郎! 倒したやつを抱き起こすバカがいるか。起き上がるのを待って、また殴るんだ」と言われたのです。「向いてないな」と、私はそう思ってしまいました。
自分の力を思いっきり出したかったのですが、相手を殴って思いっきり出すよりも、相手に喜ばれることを思いっきりやる。そのような仕事をやりたい、そう思ったのです。
それは営業だと思いました。営業なら、お客様のために思いっきりやってもいい。自分の力を、全身出してもいい。それでボクシングをやめ、営業という仕事に全力を傾けることになりました。
~(P31~34より引用)~
このエピソードを読んで、私は「力」というものは、使う方向によってまったく違うものになるのだと感じました。
佐藤先生は、相手が倒れた瞬間、さらに攻撃するのではなく、思わず抱き起こしました。その姿に、その後ずっと伝え続けることになる「真我」や「愛」の原点のようなものを感じます。
人間の中には大きなエネルギーがあります。
そのエネルギーを「相手に勝つため」に使うのか。「相手を幸せにするため」に使うのか。それだけで、人生の方向は大きく変わるのではないでしょうか。
これは仕事でも同じだと思います。
営業であれば、「この人に本当に喜んでもらうにはどうしたらいいだろう」と考える。職場なら、自分の力を周囲のために使う。
家庭でも、家族を理解することに向けてみる。
同じ能力、同じ情熱、同じエネルギーでも、向ける方向が変われば、その場に生まれるものも変わります。
「戦う力」をなくす必要があるのではなく、その力そのものを「愛する力」へと転換していく。それが心の進化なのかもしれません。
世界から戦争をなくすというと、あまりにも大きな話に感じます。しかし、その原点には、一人ひとりが自分の持っている力を何のために使うのか、という問いがあるように思います。
相手を倒すためではなく、相手に喜ばれるために思いっきり力を出す。
そんな人が一人、また一人と増えていけば、私たちの日常から争いの種は少しずつ消えていくのではないでしょうか。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
